■技術トレンド紹介■高出力レーザーを水冷却なしで測る

今日は最近のイチオシ、冷却水を使わないでハイパワーレーザーを計測する技術を紹介します。

金属の溶接や切断の用途に使うレーザーのパワーは、数百ワット後半~数キロワットのものになります。

通常、パワーメーターというものは仕様値で、「最大受光能力 ●●W(または▲▲kW)」と記載があり、その受光能力に応じた冷却方式が採用されます。当社の現行品の場合、600Wまではファン空冷、それ以上は水冷です。

それに対し、「水をできる限り使いたくない!」というユーザー様の要望をよく聞きます。

そのようなご要望にお応えできるよう、Gentec-EOでは標準品ラインナップのほか、最近はセミカスタム品をご提案しています。

1) レーザーの照射時間を5秒(場合によっては10秒)に限定し、パワーメーターでパワー測定する(測定単位 : W)

サービスマン向け標準ラインナップの PRONTO-xK シリーズのように、5秒の照射時間でキロワットを測ってしまおうという方法です。私管理人が「UP-SSPシリーズ」と勝手に名付けていますが、通常のパワーメーターと異なり、「5秒で正確に測る」という目的のために、ハード・ソフトの設定を最適化させた特殊仕様です。空冷でファンも冷却水も要らない、というのが最大の強みです。

詳細はここでは書けませんが、このパワーメーターを加工装置に組み込み、レーザー装置の始業点検を行っていただいている方もいらっしゃいます。セミカスタムを非常に得意とするGentec-EOならではの柔軟性が、お客様の装置に最適な製品を1個からご提案しています。

2) レーザーの照射時間を数10ミリ秒と短く設定し、パルスエネルギー(単位: J)から平均パワー(単位 : W)を計算で割り出す

サービスマン向け標準ラインナップのPRONTO-250-PLUS、またはPRONTO-500-IPLでエネルギー測定モードでJ値を測定し、以下の式からレーザーパワーが計算できます。ピークパワーの計算です。こちらもファンや冷却水が不要な簡易測定方式です。

測定したエネルギー値(J) / 照射時間(s) = 平均パワー(W)

例として、50ミリ秒のレーザー光の測定値が200Jだったとすると、実際のレーザーパワーは200 / 0.05 = 4,000 W = 4 kWとなります。

ポイントは照射時間を正確にコントロールすることですが、最近のレーザー光源がファイバーレーザーで、コントロールが比較的簡単に行えるようになってきたことも、このような測定方法の浸透に貢献しています。

以下URLはこの方式で当社パワーメーターを使っていただいている UW JAPAN株式会社様です。ページ中央付近に動画もありますので、一度ご覧ください(千國社長、動画のアップありがとうございます)。


Gentec-EO
Gentec Electro-Opticsはレーザービームおよびテラヘルツ光源測定・分析を専門としています。50年にわたってレーザー市場における最先端技術を開発し、他に類を見ない革新的な実績を積み上げながら、Gentec-EOはレーザービーム測定分野のエキスパートへと発展しました。 工場から病院、研究所、リサーチセンターまであらゆる種類のレーザー用途に対し、Gentec-EOは幅広い標準製品およびカスタマイズソリューションを取り揃え、現在と未来に対応する準備を整えています。
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