■対象 : 中級者向け■ 最小レーザーパワー

久しぶりの技術情報の更新です。

タイトルにある、とある受光器で測定できる最大パワーは書いてあるけど、じゃぁ最小パワーは?というご質問をよくいただきます。実際にカタログには直接書いてありません。

その答えを探るために必要な情報が、各製品ごとに書いてある"ノイズレベル" (ノイズ等価パワーとか、NEPとか、表現方法がいくつかあります)です。

例えば、15Wタイプの受光器、UP19K-15S-H5-D0を見てみましょう。

はい、1mWとあります。

で、結局最小で測定できるパワーは???

はい、ざっくり言ってその値から20倍してください。

というわけで、20mW以上だったら「何か光が当たってるのがわかる」という事になります。これはお客さんそれぞれの測定環境まで把握できないので、とりあえずこれ位、といった目安値としておきます。

なんとなくわかった後は、実際にやってみましょう。

下の写真はテーブルの上に受光器UP19K-30H-H5-D0(手元にUP19K-15S-H5-D0がなかったので、同じノイズレベル1mWのものを代用)を置き、表示器MAESTROで挙動を測定・表示しています。ノートPCと電話機が各1台近くに置いてあり、天井エアコンの風がたまにそよいできます。この環境下で、①手を近づける、②うちわで空気を送る事をしています。

結果としては、手を10cm程度のところに近づけたり、うちわ微風を受けたくらいでも、下の画像のように挙動が乱れます。これだと20mWなんてぶれの範囲です。

このような使い方をするパターンはあまりないとは思いますが、どの製品にしても"測定に適した範囲"というのはあります。感覚的なものですが、UP19K-15S-H5(ノイズレベル1mW)だったら、500mWかそれ以上は入れた方がより信頼できる測定になると思います。

ちなみに、もう少し低パワーを頑張って測りたい!という方にはちょっとしたコツ(裏技というほどのものではないですが)があります。これはまた次回書きます。

最後に、>300Wクラスやキロワットクラスの受光器になると、もともとのノイズレベルは上がりますが、手や微風によるノイズではさすがに反応しなくなります。そして、多少粗いギザギザデータになりますが、キロワットの受光器とかでも10W程度の光がそこそこきれいに取れます。ご興味ありましたらお問い合わせください。チャンピオンデータではなくあくまで並?の環境で測定したデータなので、購入いただいてから「そんな測定できないじゃん!」という事にはならないのでご安心を…。


Gentec-EO
Gentec Electro-Opticsはレーザービームおよびテラヘルツ光源測定・分析を専門としています。50年にわたってレーザー市場における最先端技術を開発し、他に類を見ない革新的な実績を積み上げながら、Gentec-EOはレーザービーム測定分野のエキスパートへと発展しました。 工場から病院、研究所、リサーチセンターまであらゆる種類のレーザー用途に対し、Gentec-EOは幅広い標準製品およびカスタマイズソリューションを取り揃え、現在と未来に対応する準備を整えています。
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